微分ゼミ 4回目 (2017.11.9)

1 前回までのまとめや手書き資料

ネットで 'masayuki054 hatena 微分積分' で検索して, 「はてなダイアリー」というサイトの, 「masayuki054's diary」 のページを見つけてください。

どこかにある,「微分ゼミ – 岩手大学 学修支援 2017」というページが 入口です。

https://masayuki054.hatenablog.com/entry/2017/11/08/211556

2 平均値の定理からテイラーの定理へ 再び

2.1 平均値の定理の意味 (再び)

\([a, b]\) で微分可能な関数 \(f(x)\) に対する,平均値の定理は次のように 解釈できると考えます。

読んで自分で考え,納得できれば自分の言葉でまとめてください.

  1. 区間 \([a,b]\) の間に,接線の傾きが平均変化率となる点 c が存在する。
\begin{eqnarray} f(b) - f(a) & = & f'(c)\,(b-a), & a< c < b \\ \end{eqnarray}
  • 上式の\(b\rightarrow a\)の極限が,\(dy=f'(x)dx\)となる。
  • 両辺を \((b-a)\)で割り,\(b\rightarrow a\)の極限が,\(dy/dx = f'(x) \)となる。
  • \(f(a)\)の値から,\(f(a+h)\)の値を正確に計算できる。
\begin{eqnarray} f(a+h) &=& f(a) + f'(c) \, h, a < c < a+h \\ \end{eqnarray}

但し,\(c\)の値がわからないと\(f(a+h)\)の値は正確に求められないが,

近似を用いながら,だんだんに \(f(a+h)\)を求めていくことができる。 \(\sqrt{10}\)の計算や次節のやり方などがその例。

2.2 平均値の定理を繰り返す

\(h_0 = b -a\) とし,\(c\) の代わりに,\(c = a + \theta_1 h_0\) と書き変 え,平均値の定理を下記のように書く。繰り返すごとに新しい\(\theta\)と\(h\) がでてくるので,添字を付けることにする:

\begin{array}{lllll} f(a+h_0) & = & f(a) + \underline{f^{(1)}(a+h_1) h_0}, \\ & & & h_1 = \theta_1\,h_0, & 0 < \theta_1 < 1 \\ f^{(1)}(a+h_1) h_0 &=& f^{(1)}(a) h_1 + \underline{f^{(2)}(a+h_2) h_0 h_1} \\ & & & h_2 = \theta_2\,h_1, & 0 < \theta_2 < 1 \\ f^{(2)}(a+h_2) h_0 h_1 &=& f^{(2)}(a) h_0 h_1 + f^{(3)}(a+h_3) h_0 h_1 h_2 \\ & & & h_3 = \theta_3\,h_2, & 0 < \theta_3 < 1 \end{array}
  • 上式を,\(a\) から \(h\) だけ離れた \(a+h\) での \(f(a+h) \) を求める式と考える。
  • \(f(x)\) の導関数と,\(f(a)\) と, \(f'(a+\theta_1 h)\) が分れば,\(f(b)\) が求められる。
  • しかし,\(\theta_1\)が分らないため,\(f'(a+\theta_1 h)\) が求められない。
  • そこで,\(f'(a+\theta_1 h)\)に,平均値の定理を適用し,\(f'(a)\)を使って, 表す。
  • 繰り返す。

n回近似を進めるとどうなりますか:

\begin{array}{lllll} f^{(n)}(a+h_{n}) h_0 \cdots h_{n-1} &=& f^{(n)}(a) h_0 \cdots h_{n-1} + f^{(n+1)}(a+h_{n+1}) h_0 \cdots h_{n} \\ & & & h_{n+1} = \theta_{n+1}\,h_n, & 0 < \theta_{n+1} < 1 \end{array}

結局,\(f(a+h)\) の計算式はどうなる?

テイラーの定理みたいのが導けましたか?

3 テイラーの定理を導く

  • 前節の結果で,\(a\)からの距離 \(h\) を変数と考え,\(x\)と置き, \(\alpha_i = \theta_1 \cdots \theta_i\) と置くと, 下式となる: \begin{array}{llll} f(a+x) & = & \sum_{i=0}^{n-1}{\alpha_i}{f^{(i)}(a)} x^i + \underline{{\alpha_{n}{f^{(n)}(c)} x^n}}, & 0 < c < x \\ \end{array}
  • 無限まで考えると: \begin{array}{llll} f(a+x) & = & \sum_{i=0}^{\infty}{\alpha_i}{f^{(i)}(a)} x^i \end{array}
  • 両辺をn回微分して,\(x=0\) として \(f^{(n)}(a)\)を求めてください。
  • \(\alpha_n\) が \(\frac{1}{n!}\) となりましたか?

4 マクローリンの定理と展開の意味

下の式の右辺は,原点から\(x\)離れた点での\(f(x)\)の値を計算する(できる)式 となる:

\begin{array}{llll} f(x) & = & \sum_{i=0}^{n-1}\frac{f^{(i)}(0)}{i!} x^i + \underline{\frac{f^{(n)}(c)}{n!} x^n}, & 0 < c < x \\ \end{array}

\(sin(x)\)の場合は:

\begin{array}{llll} sin(x) & = & x - \frac{1}{3!}x^3 + \frac{1}{5!}x^5 - \cdots \end{array}

\(sin(x_0)\)の値は,右辺に\(x=x_0\)を代入して,求められる。

  • \(sin(x_0)\)を正確に求めるための条件は何でしょう?

\(f(x)\) のマクローリン展開式を,関数として \(f(x)\)と見做していいで しょうか?

  • \(sin(x)\)のマクローリン展開式を微分すると, \(cos(x)\)のマクローリン展開式の微分になっていますか?
  • \(f(x)\) のマクローリン展開式を,関数として \(f(x)\)と見做していいた めの条件は何でしょう?

Author: suzuki@iwate-u.ac.jp

Created: 2017-11-30 Thu 11:15

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